若桜木虔メール通信添削講座 体験談 その33


朝日時代小説大賞・小説現代長編新人賞W受賞体験談 仁志耕一郎 さん

 若桜木先生との出会いは三年前の夏でした。おそらく先生との出会いがなかったら、時代物を書こうとも思いませんでしたし、こんな凄い賞を、しかも二つも取れなかったと思います。

  通信添削で、何本ものミステリーのあらすじを送りました。先生からは「これはいけない」「これならまずまず。しかし新人賞は無理」「キャラがぜんぜん駄目」。そして……。 最後に一言、「仁志さんは、ミステリーは向いていないね」でした。
 あらゆる文学賞に出してすでに十年、先生から出された答えが、それです。
 正直、心が萎えました。ですが、十年を無駄にしないためには前に進むしかない。以降、先生の勧めで時代物に路線を変更したのです。

 その後、先生にはメールで質問ばかりしました。「この時代、こんな言葉があったのでしょうか」など。先生はすぐに答えを返してくれるので大助かりでした。今度こそ――。
 しかし、何本かの長編を書いて新人賞に出すもすべて落選です。
すでに五十歳半ば。もう賞を取らなければ、人生そのものが終わる。そう念じて、若桜木先生の著書『時代小説を書く』『小説新人賞の傾向と対策』『時代小説家になる秘伝』などを何度も読み返しました。
 じっくり読むと、今まで見落としていたことばかり。「これでは落ちて当たり前」でした。大事な部分は紙に書いて部屋に貼りました。心機一転。受賞した二作は先生には見てもらいませんでしたが、自分なりに丁寧に調べ上げ、取材もし、現地に出掛けていき、今まで以上に時間を掛けて仕上げました。必ずどちらかが賞を取る。いや、二つとも賞に入ると念じて、朝四時から夕方まで書いたものです。

  四十代後半から五十代の、新人賞を狙っている方々に申しあげます。
 新人賞を獲得するには努力だけでは取れません。やってはいけない禁じ手や、コツがあるのです。それらのことを、今まで自分が作り上げてきた世界に加味すればいいだけのことです。オリンピックのメダリストの陰に名コーチがいたように、小説にも名コーチは必要です。私のように時間を無駄にしないためにも、若桜木先生から教わってください。十三年間、落選ばかりしてきた私が言うのだから間違いありません。

 最後に、老婆心ながら締め切りの近い賞は狙わないほうがいいでしょう。朝日時代小説大賞は締め切りが十二月末で、小説現代長編新人賞は翌月の一月末です。二冠を取って大喜びしたものの、発売時期がほぼ同時だったため、八月から十月までは改稿に次ぐ改稿で想像を絶する忙しさでした。勿論、オリンピックを観戦している暇などありませんでした。
 ですから、間違っても、十一月の松本清張賞、十二月の朝日時代小説大賞、一月の小説現代新人賞の、三冠など狙おうなどとは思いませんように。大変な地獄が待っています。

 夢は努力すれば必ず叶う。それを信じて頑張ってください。

新聞記事仁志耕一郎 さん

 

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