若桜木虔メール通信添削講座 体験談 その4

【講座卒業に寄せて】  田牧大和さん(第2回・小説現代長編新人賞受賞)

 先生の講座を知ったのは、細々と江戸ものの小説を書き続けてはいたものの、すっかり煮詰まってしまい、「この辺で気分を変えてみるか。違う時代で書いて、新人賞に挑戦してみようかな」と考えていた時でした。
 講座に申し込んでもいないのに、「飛鳥時代で書いてみたいんですが」とメールでいきなりご相談したところ、速攻で返信していただいた回答が、「売れる時代ではありません。時代小説で今売れるのは、江戸か戦国くらいです」。
 この題材で新人賞に応募しても大丈夫なのか、正直なところ自分でも不安でしたので、先生のお返事は内心のもやもやが、一気に吹き飛ぶものでした。
 それからが、また嵐のような毎日で(苦笑)。
 すぐに受講の申し込みをして、江戸もののプロットを提出すると、2時間足らずで「行けます」とのお返事をいただきました。
 ほっとしたのもつかの間、すぐさま、応募できそうな賞を2つ勧めていただきまして、基本、優柔不断な私は、結局「どちらがいいでしょう」と、先生に訊き返す始末でした。
 これまた速攻で、きっぱりはっきり「この話の内容なら、こっちの賞が合っています」と、帰ってきたお返事と、その賞の応募要項を見て、愕然。
「うそ……。長編なのに、締め切りまで2ヶ月切ってる……」
 睡眠時間を削り、休日の大部分を原稿に充て、時には「間に合う訳ないよ〜!」と放り出しそうになりつつ、ほとんど成り行きと勢いで、無事400枚弱を書きあげたのが、応募締め切りの1週間前でした。今だに自分でも信じられない荒業です。
 そうやって書き上げた「江戸もの」でいただいたのが、今回の「小説現代長編新人賞」です。
 半年という短い期間でしたが、受講中、先生にはたくさんのことを教えていただきました。
「烏賊野郎」「この章魚!」なんていう、侍同士の応酬の決まり言葉、「びっくり」「さぼる」は、江戸時代にはないこと、「枇杷の剪定」、「コハダの塩焼き」に「マクワウリ」(あれ? 小説添削の話だったのでは……?)。
 何より有り難かったのは、いいならいい、だめならだめ、とはっきり言ってくださったこと。更に、何がどうだめなのか、なぜだめなのか、ちゃんと伝えて下さったこと。すぐにおろおろ、不安になる私にとっては、前へ進む大きな後押しでした。
 今回、先生の添削講座2年連続の「小説現代長編新人賞受賞者」として卒業させていただくのは、予想外の嬉しい出来事となりました。
 あの時、もし「飛鳥時代で書きたい」と相談していたのが、若桜木先生ではなかったら。
 もし、奈良の都、飛鳥の昔に浸りつつ、のんびりマイペースで書き進めていたら。
 今頃はどうなっていたんだろう、と、しみじみ思い返す今日この頃です(まだ、半年前の話なのに・笑)。

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